お家騒動と広報部

IDC大塚家具のお家騒動については、そもそも不祥事を起こしたわけでもないので個人的には関心がなく、経緯も詳細もよくわかってはいませんが、それでも報道・情報番組で見かけるたびに必ず湧き上がる疑問があります。

それは、父(会長)側が勝った場合と娘側が勝った場合とで、広報部門は記者会見の想定問答を2パターン(もしくはそれ以上)用意したのだろうか? または、広報も父側と娘側で派閥が分かれたりしていたのだろうか? ということです。

後者については真偽のほどはわからないので考えても無駄ですが、強くイメージされるのはいずれにせよ、まずやはり広報部内では、父か娘のどちらが勝っても使える共通の想定問答やステートメントをつくったのではないか、と。その上で、父と娘で多少異なってくる質問、回答の仕方をある程度つくりこんでいったのではないかということです。キーワードはもちろん「再スタート(心機一転)をアピール」といった感じで。

案の定、大手新聞社の記者が「負けた側の派閥の社員の処遇はどうするのか?」という質問をしましたが、娘さんはいたってセオリー通りに「今回どのような立場をとっていたかは、今後は関係ない」といったような回答をされていました。仮に何かの処遇をとるにしても公に言うはずもないので、かなり無意味な質問ではありますね。

しかしつくづく思うのは、家具を買い求めたい消費者にとっては社長が誰かなど関係ないということです。食品とは異なり、家具が人を襲うわけではないのです。だからこそ広報部の最大の課題(宿命)は、こうして誰に迷惑をかけたわけでもないけれど、社会的意義や価値とは無関係に晒しものにされることに対応し続けることであり、さらにそういう環境の中で、どれだけ会社ひいては社員を守れるか? という点にあるのだろうと思います。

それを広報スタッフは、社内のお家騒動に巻き込まれて迷惑ととらえるか、新たな体制下での展開を好機ととらえて耐え忍ぶか…個人的には例えば、過去のリリースにある、Ken Okuyama氏とのコラボはとても光っているように感じました。お家騒動でMAXになってしまうと、今後の企業活動に目を向けてくれるまでには時間がかかるでしょうが、まさに心機一転で進んで行って欲しい、と思わされる一件でもあり、そう考えるとこの騒動も無意味ではなかったのでは、とも思えます。