【広報の可能性を考える】広報は謝罪の時だけ出てくる部署ではない②

  • 本当は社員ひとりひとりが広報担当

では、広報が社員の意識変容に寄与できる施策は何かと考えてみると、ひとつには「ブランディングの強化」が挙げられるのではないかと思っています。中小企業にも大企業にもよく「うちは特定の顧客ルートがあるし、ブランディングなど興味ないし不要」とか「うちはBtoBの会社だからブランディングとか意味ない」などという人がゴロゴロいますが、それは大きな損失ですし思考停止ではないかと、個人的には考えます。

実際に今の社会では、フリーランスでひとりで仕事をしている人も、個人経営のような会社でも「ブランディング」は欠かせません。その会社がどういう会社なのか、どういう人なのか、何を得意としているのか、社会や人々にどのような貢献ができるのか…。また、それらにしても「口先の言葉だけ」の「中身のない薄っぺらな」「いかにも嘘っぽい」言葉を並べるだけでは通用しなくなってきています。

新卒なり中途で社員を採用している会社であれば、ブランディングができている場合とできていない場合とでは、「優秀な人材の獲得」に格段の差が生じていますし、採用をしていなくてもユーザーにモノやサービスを提供する会社である以上、将来に何が起こるかは予測不能であり、そうした有事の際のリスク低減のためにもブランディングの戦略に基づく企業PRを実施しておくことは、すべての企業に課せられているといっても過言ではないはずです(それらが成功して有名になると叩かれるリスクも増すのでやりたくない、と言う人もいますが、すでに多くの企業のクライシス事例においてその考えが間違いであることは明らかにされています。それは今回は置いておきますが)。

企業のブランディングは広報が中心になることが望ましいでしょうし、実際にブランディング専門の部署でもない限り他に適切な部署も思いつきませんが、だからこそなおさら、広報がブランディング強化を推進する過程で社員の意識を変えていくのに適切なフレーズがあります。それは「社員のひとりひとりが広報」というものです。

会社のイメージを言葉や雰囲気で語ろうとする人は多いですが、社員ひとりひとりの日々の行動や振る舞いがその言葉とかけ離れていては意味がありません。ですから会社のブランドイメージを社員に負わせる…すぐには無理でも常に意識して行動してもらうことは可能なはずです。それを実現するのは困難極まりないことですが、しかしやはり、冒頭のような事案を事前に防止するためには「社員が会社の名を負うのだ」という意識を浸透させ、ひとりひとりが会社の広報になれるくらいの知識と意識を有していることが、小手先のテクニックだけを駆使した簡単に化けの皮がはがれる施策よりも、より強固な組織作りにつながるのではないかと確信します。

  • 防止策の提案:社員ひとりひとりがブランディングに関わる

そこで提案しimagesたいのは、「社員ひとりひとりに自社または自分自身をブランディングをさせる」という施策です。自分で会社をつくって経営責任を負っているとしたら、まず問題行動は起こしません。自分で出資したり融資を受けてつくった会社の社名をわざわざ掲示して、一般的に非常識と言われるような行動はとらないものです。要は社員ひとりひとりが、その会社で働いていることが当たり前になりすぎていて、もしくは会社に守ってもらっているという単純な甘えが蔓延していることなどが原因で問題行動が発生するので、「会社が私のものだとしたらどうするだろうか??」という意識を持たせることが必要になるのです。

たとえば、「あなたが会社の広報だとしたら自分の会社をどのようにPRしますか?」「うちの会社の強みはなんだと思いますか?」という単純な問いかけで良いと思います。それを全社員に考えさせる。もちろん正解があるわけではないですし、どうしても頓珍漢な回答は出てきます。しかし、そのような場合にはまた軌道修正しながら適切な落としどころを社員同士で話し合い、見つけていける推進プランを立案していけば良いはずです。

「それを広報がするの?」という問いかけは必至だと思います。確かに難問ではありますが、広報が組織に対して発案、提案できる場合はあるでしょうし、広報がそのタスクチームの一員になることは十分に可能なはずです。下手に社員のマナー向上のための文言をひねりだして大量の印刷物を作成することよりよほど効果的ではないでしょうか。何よりもこの施策が成功すれば、冒頭の例のような、心底しょうもない案件で謝罪する機会は激減するはずなのですから。

広報には他にするべきことがたくさんあるのに、やたらと「謝罪する部署」みたいになっているのは由々しき事態であると日々感じますし、メディア対策だけが広報の仕事ではない、というかメディア自体が変容しているこの社会では、こうした事例を前に進んでいくためのきっかけにするしか、広報の存在価値を高めていく方法はないのでは、と思います。(了)